平成17年12月24日に平成18年度予算案が臨時閣議で決定されました。
  (その内容を「平成18年度廃棄物・リサイクル対策関係予算内示の慨要(平成17年12月
   24日)」(PDF形式:370KB)
  「平成18年度環境省予算(案)事項別表(平成17年12月)」(PDF形式:38KB)
  「平成18年度環境省重点施策(平成17年12月)」(PDF形式:536KB)に示しました。)
 廃棄物処理施設関係予算は約923億円で、前年度予算額に対し約155億円のマイナス、対前年度比では85.6%(△14.4%)となりました。当工業会事務局では毎年この時期に、工業会会員の立場にたって次年度の予算案についての考察、評価を試みております。以下にその結果を述べさせていただき、会員及びその他の廃棄物処理施設整備事業に携わる方々の参考にさせていただければと考えます。

[循環型社会形成推進交付金の継続と拡充]

 平成18年度廃棄物処理施設整備費予算の中で特に当工業会メンバーにとって関心の大きかったことは、循環型社会形成推進交付金の行方でした。三位一体改革の中でどのような結末になるか予断を許さない状態でした。結果は、総額で約155億円の削減になりましたが、交付金は「継続」ということで落ち着いています。
 また、18年度における同交付金の新たな面として、以下のとおり、メニューの統合化と交付対象範囲の拡充等があります。

(1)メニューの統合化
 18年度から、多数の種類があった対象施設を基本的に以下の3つの施設に統合することとされています。
    1.マテリアルリサイクル推進施設
    2.エネルギー回収推進施設
    3.有機性廃棄物リサイクル推進施設
3つの施設類型に従来の施設がどんな形で統合されるのかが今後の関心になります。
例えば、支援率が高い「高効率原燃料回収施設」の扱いがどうなるか注目していく必要があります。
こうした統合の具体的な考え方は、今後の交付要綱、取扱要領の改正で明らかになるものと想われます。

(2)交付対象範囲の拡充等
 循環型社会への転換の一層の促進、温暖化対策への対応、アスベスト対策の推進等の最近の社会的なニーズを踏まえて、以下の施設が新たに交付対象とされています。
1.機能、設備強化の拡充等
 エネルギー回収の高度化、アスベスト飛散防止対策の徹底のための設備強化、有機性資源回収の高度化のための機能・設備が交付金の対象となるようです。

2.アスベスト含有製品対策の強化
 17年度中にまとめられる予定の「アスベスト飛散防止対策ガイドライン(仮称)」に適合させるための安全対策設備追加事業が交付金の対象となるようです。

 こうした交付金制度の継続、対象範囲の拡充等によって、循環型社会形成に向けての自治体、関係者の取り組みが促進されることを期待します。

[汚水処理施設整備交付金の継続]
 
 浄化槽の整備は、前記の循環型社会形成推進交付金の交付対象とされ、継続されましたが、あわせて、環境省、国土交通省、農林水産省と共同で推進する排水処理施設整備事業に係る交付金である「汚水処理施設整備交付金」(総額約127億円)も継続されました。汚泥再生処理施設の計画にも関連する事業であり、引き続き、注目していく必要があります。
 なお、交付金の助成要件緩和として、合併処理浄化槽の設置に伴う単独浄化槽の撤去費が基準額の対象に新たになるようです。

[廃棄物処理施設における温暖化対策事業(石油特別会計)の推進]

 上記交付金のほか、廃棄物分野の温暖化対策推進の一環として廃棄物発電施設や熱利用施設の整備事業で一定の要件を満たす事業については、石油特別会計を活用して、国庫補助が措置されることになっています。                    (総額約15億円)

[施設整備以外のその他事項]

 17年4月に開催された「3Rイニシアテイブ閣僚会合」でわが国が発表した「ごみゼロ国際化行動計画」を踏まえ、アジア各国への技術移転を進めるために、「東アジア循環社会研究ネットワーク(仮称)」を構築するほか、適切な国際循環ネットワークのための各種の事業、調査が計上されています。

 また、適正処理やリサイクル技術の研究、開発を推進するための「廃棄物処理等科学研究費補助金」が計上されています。

[政府原案策定までの経緯]
 
 平成18年度予算編成までの経緯としては、すでに経済財政諮問会議の進める三位一体改革として、平成15年度において、「平成16〜18年度の 3年間で、4兆円を目途に廃止・縮減等の改革を行う」という方針が閣議決定され、平成16年度、平成17年度の予算編成で、これまで約2.4兆円の国庫補助負担金が削減されました。
 
 このため、18年度予算では残りの約6000億円の削減がテーマとなり、地方6団体では本年7月に約1兆円の国庫補助負担金の削減リストをまとめています。その中には、廃棄物処理施設整備費補助金のほか17年度からスタートしたばかりの循環型社会形成推進交付金も廃止対象とされていました。このため、当工業会においては、「循環型社会形成推進交付金は今後の循環型社会構築には不可欠」という立場で、日本廃棄物団体連合会を中心として関係方面に要望をいたしてきたところです。
 
 昨年(16年)9月以降は、「国と地方の協議の場」が設けられ、税源移譲の考え方、国庫補助負担金のあり方について熱心な議論が総論・各論で展開されましたが、18年度予算についても何度か開催されました。こうした中、官房長官の指示で各省庁に約6300億円の削減枠の提示があり、検討・調整が行われてきました。
 その結果は、平成17年11月30日の政府・与党の合意、「三位一体の改革について」として取りまとめられました。その詳細は、本ホームページ別掲の「三位一体改革関連」の中で紹介しておりますが、「環境省全体では40億円程度の補助金削減を行うが、対象の補助金は産業廃棄物適正処理推進費補助金などであり、(懸念された)循環型社会形成推進交付金については対象外。また、40億円に見合う税源移譲は30億円程度。」という内容であります。  
 
 こうした経過、背景を踏まえて、18年度予算では、「循環型社会形成推進交付金」制度が継続されました。予算額全体では約155億円のマイナスになっておりますが、継続が危ぶまれた循環型社会形成推進交付金が維持されますことは、環境立国の推進の面から慶ばしい限りであります。
 ここに至るまでには、環境省の関係部局のご労苦はもとより、関係者の皆様のご尽力の賜物であり、深い敬意を表する次第であります。 当工業会としても、継続となりました「循環型社会形成推進交付金」の一層の効果的な活用を推進する立場から、優良な施設、信頼できる技術の提供に努めてまいります。
 
 他方、三位一体改革の動きそのものは今後も継続することになり、その動向を見守っていくことも必要であります。引き続き変わらぬご支援をお願いいたします。

 





環境省要求分(単位:百万円) 公共事業
 
平成17年度
予 算 額
平成18年度
内 示 額
対 前 年 度
差引増△減額
対前年度比
(%)
廃棄物処理施設
107,847
92,320
△ 15,527
85.6
(内  数)
 
 
 
 
ごみ処理施設等
60,102
53,641
△ 6,461
89.2
浄化槽
18,929
13,679
[12,750]
△ 5,250
72.3
産業廃棄物・PCB処理施設
28,816
25,000
△ 3,816
86.8
[ ]は平成18年度において内閣府に計上している汚水処理施設整備交付金
戻る

Copyright(c) 2001 JEFMA. All rights reserved.