平成15年12月24日に平成16年度予算案が閣議決定されました。廃棄物関係予算は1,340億円で、前年度予算額に対し 133億円のマイナス、対前年度比では91.0%(△9%)となりました。
当工業会事務局では毎年この時期に、森下副会長が中心となり、工業会会員の立場にたって次年度の予算案についての考察、評価を試みております。以下にその結果を述べさせていただき、会員及びその他の廃棄物処理施設整備事業に携わる方々の参考にさせていただければと考えます。


[政府原案策定までの経緯]
 平成16年度予算要求の経緯につきましては、経済財政諮問会議の三位一体改革として、「平成16〜18年度の 3年間で 4兆円を削減する」という方針が示され、また、11月に行われた集中審議で、小泉首相が「初年度である2004年に1兆円の国庫補助負担金を減らす」と述べられたことにより、国と地方の税財政改革の◇補助金の縮減◇地方交付税の見直し◇税源委譲、が本格的に動き出し、特に補助金の廃止・削減については、
 (1)補助率3分の1未満
 (2)補助制度創設後一定期間を経過して整備水準が相当程度になったもの
 (3)1項目の廃止により 1,000億円以上の補助金が捻出できるもの
という3つの事項に該当する補助金を含むものとして、「廃棄物処理施設整備費」が狙われることとなりました。

 しかし最終的に廃棄物処理施設整備費の全体枠の中で 133億円のマイナスにとどまったことは、ご同慶の至りと申すべきですが、ここに至るまでには、環境省の関係部局のご労苦はもとより、補助金を直接受ける市町村団体等に代わって当工業会会員各社がそれぞれ独自のチャネルにより公式・非公式の要請・陳情を行っていただいた成果でもあると推察し、関係者のご尽力に対し深い敬意を表する次第であります。
 他方、「政令指定都市の13市の提言」や「全国市長会」の動き(使途が限定されている補助金を削減し、地方の税収に変えること)はネガティヴなものであり、その影響がどのようなものであったか、今後検証の必要があると思いますが、17年度18年度に向けて予断が許されない状況です。

[廃焼却炉の跡地活用による廃棄物処理施設の整備]
 平成16年度予算案で、当工業会メンバーにとって概算要求時点から注目していた事項としては、廃棄物処理施設整備費補助の中に廃焼却炉の跡地を利用し新たな廃棄物処理施設を整備する場合の、当該廃焼却炉の解体費が補助対象に入ったことです。
 これにより平成18年度以降に到来する築20〜25年の施設のリプレイス需要にも対応できるものと考えられ、所管課の先見の明ある措置に敬服する次第でありますが、概算予算要求時の説明では「廃止された廃棄物焼却炉の円滑な解体を新施設の整備と一体的に推進する。」とありますので、その具体化に当たって「一体的」というのは空間的・時間的にどのような条件が定められるのか注目して行かなければならないと思います。
 ダイオキシン対策のために閉鎖した焼却炉の解体は高度な技術力を必要とするものであり、通常の「構造物の解体作業」と同様に扱うことはダイオキシンによる二次的汚染を引きおこすおそれがありますので、これらのことを市町村など発注者側に十分にご認識いただき、より適切な施工が可能な業者を選定されるよう当工業会としても要望してまいりたいと考えております。

[都道府県汚泥処理基本構想作成]
 浄化槽の普及を踏まえた都道府県汚泥処理基本構想作成調査費についての要求は通りませんでした。
 これは所管課の非公式の見解ですが、要求時の説明では、「16年度にモデル県を選択して汚泥の処理構想を作成し」その「モデルケースを基に各道府県において汚泥の基本処理構想を作成するための指針を策定する」となっており、これでは基本構想作成までに2〜3年を要することになって時間切れとなるので、予算はつかなかったが、16年度の方針として各都道府県による処理基本構想の具体化を進めたいということでした。
 都道府県によって浄化槽汚泥処理計画がされれば、汚泥再生処理センターの整備・改修の計画と密接な関連があり、当工業会としても重大な関心を持っているところですので、今後の推移について重大な関心を持って行きたいと思います。

[施設整備事業資金貸付金償還時補助]
 なお、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部の「平成16年度廃棄物・リサイクル対策関係予算内示の概要」(平成15年12月22日)の最後のところに「(※)上記の他に、改革推進公共投資廃棄物処理施設整備事業資金貸付金償還時補助として26,288百万円が当初内示された。」とありますのは次の次第によるものです。
 平成13年度にダイオキシン類対策のため補助金の需要が増大したので、これに応ずるため、臨時に「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」(昭和62年法律第86号)に基づく資金が、総額約 800億円が貸付けられました。
 この貸付金は、「償還時において償還金に相当する金額を国が補助する」という条件で無利子で貸付けられておりますので、償還期間 5年(うち据置期間 2年14、15年度)の中で償還の初年度となる平成16年度に償還すべき金額の総額約 263億円が、標題の補助金として今回内示されたものであります。
 つまり過去の借金の支払い分の補助ということで、従いまして、16年度に新規に着工する施設整備の予算に充当するものではないことにご留意いただきたいと存じます。





環境省要求分(単位:百万円)
 
平成15年度
予 算 額
平成16年度
内 示 額
対 前 年 度
差引増△減額
対前年度
比 (%)
廃棄物処理施設
147,305
134,008
△ 13,297
91.0
(内  数)
 
 
 
 
115,590
83,819
△ 31,771
72.5
21,146
25,659
4,513
121.3
P C B
10,569
24,530
13,961
232.1
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