21世紀「循環の環」の創出に向けて

 さる5月20日、(社)日本環境衛生工業会第45回通常総会において、小沢辰男先生の後任として会長に選出され就任いたしました。
 小沢前会長には、28年間の長きに亘り(社)日本環境衛生工業会の発展と充実に格別なるご尽力を賜りましたことを感謝いたします。 
全会員を代表いたしまして、改めて厚く御礼を申し上げる次第であります。
 さて、振り返りますと本工業会の活動は昭和37年任意団体として発足以来、会員各社の皆様方の弛みないご努力のもと、優れた廃棄物処理技術を提供してまいりました。狭い国土の中、多くの人口をかかえるという厳しい条件を克服して、我国が世界に誇る「快適で安全な生活環境の創造」の実現に大きく貢献してまいりました。
 現在、本工業会の会員数は35社であり、全国市町村の一般廃棄物処理施設の約90%の建設実績を維持しております。正に「継続は力なり」の通りでございます。
 しかしながら、近年は資源の枯渇問題、埋立地の不足、環境汚染等の問題が大きくなり、「大量生産・大量消費・大量廃棄の社会」から「循環型社会」への移行が急がれております。 
 このような状況の中、廃棄物問題はダイオキシン類やPCBを始めとする有害物質の問題がクローズアップされ、又、「オゾン層の破壊や地球温暖化問題」との関連から様々な問題が議論されています。「環境の劣化をくいとめよう!!」という意識が国内のみならず国際社会全体にひろがってきております。
 環境省の本年度の施策においても、「社会をゴミゼロ型に変える・循環型社会の構築」という点が強く謳われています。
 このような廃棄物に対する社会意識の中、本工業会の果す役割は今後共、益々重要なものとなります。何故ならば、会員各社が切磋琢磨して培ってきた「技術とその開発力」こそが21世紀の困難な廃棄物問題を解決し、「循環型社会」を実現するための「鍵」となるからであります。
 本工業会の正会員であります私共プラントメーカーの立場といたしましては、優れた廃棄物処理技術を提供することは勿論、廃棄物そのものから生産品を創り出し、「循環の環」を広げる技術を開発・提供することが急務であります。と同時に「循環の環」を構成する事業そのものにも参画し最適なシステムを育成する必要があります。
 このような「循環の環」を実現することにより、いわゆる静脈産業と言われてきたリサイクル産業は、廃棄物から生産品を生みだすことにより動脈産業と静脈産業が一体となった「循環産業」としての位置付が可能となります。

 本工業会といたしましては、国の推進する「ゴミゼロ型社会」の実現に向けて広く社会に貢献できるよう活動していく所存であります。
 小沢前会長も名誉会長として、今後も廃棄物問題に取り組んで頂けることと存じます。
私も微力ではございますが、会員皆様方のご協力を頂き(社)日本環境衛生工業会活動の一層の充実と発展に全力を尽くす所存であります。
 本誌をお借りいたしまして、環境省、自治体、学識経験者、関係団体の皆様方の絶大なるご支援・ご鞭撻をいただけますようよろしくお願い申し上げます。
会長 藤村 宏幸
[(株)荏原製作所 代表取締役会長]

(本文は平成14年8月発行のJEFMA 47号より掲載)
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